体幹の筋の機能は、表在筋群からなるグローバルシステムと深部筋群からなるローカルシステムに大別されます。
それぞれの機能的な役割を理解することは、ケガをしない身体をつくること、パフォーマンスを高めることにとって重要になります。
グローバルシステムは、身体に作用する重力や外力に対して身体の均衡を保つことに寄与します。
胸郭と骨盤帯に筋の付着をもつ筋群で、主に腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊柱起立筋で構成されます。
たとえば、前方に倒れそうな場合には背面の筋が働き、後方に倒れそうな場合には前面の筋が働くといった相働性活動が特徴的です。
また、衝突のような強い外乱負荷や重量物を扱うときには、両側の筋群を同時収縮させて体幹の剛性を高める働きにも関与しています。
主要な筋群は胸郭と骨盤帯に付着するため、胸郭と骨盤の位置関係を変えるような運動に関わります。
一方、これらの筋群は脊椎に付着しないため、椎間関節の運動を微調整するような働きはできません。
ローカルシステムは脊椎椎間関節の平衡化や関節運動の円滑化に寄与します。
脊柱に起始から停止をもち、主に腹横筋、腰部多裂筋、横隔膜、骨盤底筋で構成されます。
深部筋群は、表在筋群の相働性活動と対象に、運動方向に関わらず持続性に活動することが特徴的です。
腹横筋は、上肢の主動作筋の筋活動に先行して筋活動が出現します。
腰痛を有する人では、この腹横筋の筋活動開始が上肢の主動作筋の筋活動より遅れていたことが報告されており、腹横筋の機能低下と椎間の微調整能力低下との関連が示唆されています。
また、ローカルシステムは共同収縮によって腹腔内圧の上昇にも寄与します。
瞬間的にいきむ動作では、腹腔内圧の急激な上昇によって腰部椎間や腹腔内容物の剛性を瞬時に高める効果があります。
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