トレーニング(ストレングストレーニング)は、用いる負荷の大きさや、動作様式に応じて、神経系や筋系に様々な適応を引き起こします。
●神経系の適応
トレーニングを開始して初期の間(1~1.5か月)は通常、著しく筋力が増加しますがこの間には筋横断面積はあまり増大しません。
この期間は、主に筋横断面積当たりの筋力が増加します。
これは、神経系に適応が起こり、中枢神経系およびコルジ反射などによる筋力発揮の抑制が低減するため解釈されています。
ある程度のトレーニング経験者は、こうした神経系の適応を引き出すためには、高強度のトレーニングが必要となります。
●筋肥大
神経系の適応が上限近くに達すると、筋横断面積の増大、筋肥大が起こるようになります。
筋肥大は、主としてタイプⅡ筋繊維の横断面積の増大によって起こります。
トレーニング条件によっては、筋繊維の損傷とその再生に伴い、筋繊維数の増加も起こることが示唆されています。
タイプⅠ繊維の太さは、高強度のトレーニングでは変わりませんが、筋肥大を主目的とするトレーニングでは若干増大します。
筋繊維の肥大と共に、筋内の結合組織断面積も増大しますが、通常のトレーニングの場合、その増大の程度は筋繊維断面積の増大と比例すると考えられています。
筋肥大には筋肉でのタンパク質合成の活性化が必要となります。
●代謝的適応
筋繊維が繰り返し活動すると、その活動に有利となるように特定のたんぱく質の合成が活性化されると考えられています。
トレーニングは通常、無酸素性代謝に依存するため、無酸素性代謝に関連した酸素の合成が高まり、筋の無酸素性代謝能力が向上します。
一方、筋肥大のための中~高強度のトレーニングを行うと、タイプⅡb繊維では、有酸素性代謝も高まり、徐々にタイプⅡa繊維に向かうサブタイプ転換が起こります。
また、筋繊維内のグリコーゲン量、クレアチン酸濃度の増大が起こり、これらも筋繊維の肥大にある程度関与すると考えられています。
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