バランス能力に影響を及ぼす因子として、下肢筋力、年齢、足関節や股関節の柔軟性などがあげられ、特に60歳代前半の平衡性は20歳を100%とすると20%に低下すると報告されています。
しかし、バランス能力を向上させる方法として筋力エクササイズのみでは効果は少なく、バランスエクササイズが有効になります。
バランスエクササイズの中でも、バランスパットやバランスディスク、BOSU、バランスボールなどの不安定ツールは、その簡便性からスポーツの現場でもよく用いられます。
バランスパッド上での立位保持では床上立位に比べ足圧中心の動揺が増加し、前脛骨筋などの下肢筋活動が増大します。
バランスパッドはバランスディスクと異なり、パッド自体が傾かないため支持基底面内で重心位置を保つ静的バランスエクササイズで、足関節戦略による姿勢制御反応を促通する可能性が示唆されています。
一方、バランスディスクやBOSUは圧中心の変化に合わせて前後左右に傾くツールで重心位置が支持基底面から逸脱しないようコントロールするエクササイズになります。
さらにエクササイズの難易度をあげるためには、バランスツール上で立位を保ちながら上肢の運動や片脚立位、バランスツール上への跳び乗り動作など汎用性は高く、バランスツールの特性や効果を理解しながら、より効果的なエクササイズを選択する必要があります。
こららのバランスツールをスポーツ外傷後に用いる場合は、全荷重が許可され、またスクワット動作でニーインのような動的アライメントの不良が改善されてからになります。
しかし、タオルギャザーや足底でのボール転がしのような足底感覚刺激や体幹エクササイズは神経筋コントロールに影響を与え、静的バランス能力を向上させるといわれています。
非荷重の時期でも実施可能なこれらのエクササイズは、その後のバランスエクササイズに向けて積極的に導入しても良いと思われます。