生まれたときから無意識に行っている呼吸ですが、様々な器官が関わって緻密にコントロールされています。
その司令塔は脳です。
エネルギー代謝のための通常の呼吸(代謝性呼吸)を司っているのは、脳幹にある延髄です。
脳の最下部に位置していて、消化や嚥下などの生命活動の重要な中枢がある部位です。
呼吸の中枢もここにあり、体内の二酸化炭素の量をモニターして、呼吸リズムを調整しています。
一方で、人は意識的に息を吸ったり吐いたり止めたりすることもできます。
この呼吸を随意呼吸といいます。
例えば、しゃっべっているときなどは呼吸は抑制されています。
このときの呼吸の中枢は大脳皮質の運動野が担っています。
しゃっべっているときは大脳皮質によって延髄の働きが抑制されて、しゃべり終わると抑制が外れるように調整されています。
そして、もう一つの呼吸の中枢は大脳辺縁系にある偏桃体です。
偏桃体は恐怖や不安、怒りなどの感情が生み出される場所で、感情によって変化する呼吸、情動呼吸に関わっているという説もあります。
また、不安度が高い人ほど呼吸数が増加していく傾向にあると言われています。
呼吸は姿勢などの外的環境でも変化しますが、感情という内的環境でも変化する非常にデリケートな生命活動です。