視覚や聴覚などの五感と違い、自覚しにくい3つの感覚があります。
この3つの感覚は動作の中で非常に重要な感覚で、感覚がうまく働いていない場合は
姿勢の崩れや過剰な反応などエラーに繋がります。
その3つの感覚は、触覚、固有覚、前庭覚です。
■触覚
触るとき、触られるときに感じる触覚は大きく2つの役割があります。
●原始系
本能的な働きで、自分に触れたものが餌なのか敵なのかを感じ取り、
防御行動/闘争行動/とりこみ行動のいずれかのスイッチを入れるという機能
●識別系
認知的な能力で、触ったものに注意を向けるときに働きます。
手探りをしたり、触ったものの大きさ・形・素材を判断するときに使う能力です。
触覚のトラブルは、多くの場合、過敏な反応としてみられます。
また、反対に鈍感さとなって現われる場合もあります。
■固有覚
手足や体の動きを感知する感覚で、身体をコントロールする働きがあります。
筋肉のはりや関節の角度を感じ取り、固有覚が働いていると、全身の動きを把握でき
コントロールもできます。
固有覚には4つの働きがあります。
●運動覚
動作を行う際に、手足など各部位の動きを感じとる働き
●位置覚
動作を行う際に、手足など各部位の位置関係を感じとる働き
●重量覚
物を持ち上げたときになどに、身体にかかっている重さを感じとる働き
●抵抗覚
身体を押されているときなどに、身体に加わっている抵抗を感じとる働き
この固有覚がうまく働いていないと、自分の筋肉や関節がどのくらい動いているか把握できず、全身のコントロールが乱れ、身体の動きが全体的にぎこちなくなったり、細かな動作が雑になったりします。
■前庭覚
姿勢の維持・調節などに関わっている感覚で、重力/直線/回転の3つの加速度を感じ取っています。
揺れるや回るなどの動きをしたときに、耳の奥にある三半規管や耳石器で加速度を感知して、脳に情報を送っています。
また、起きている間を常に働いており、体勢が崩れたり、転んだりしないように、バランスをとるのが主な役割です。
前庭覚にエラーがあると、本来であれば無意識にできる姿勢や視線の調節ができなくなります。
前庭覚には3つの役割があります。
●前庭-脊髄系
筋肉の緊張状態を調節する働きで、一定の姿勢を維持するためには筋緊張が必要です
●前庭-動眼系
回転後眼振を作る働きがあり、その働きによって眼球運動に関わる機能が発達します
●前庭-自律神経系
交感神経と副交感神経のバランスを調節する働きがあり、ここから快/不快の情緒が
生じます
感覚を正常な状態に戻すことは、動作を行う上で必須となります。