耳の奥、内耳と呼ばれる場所には半規管と前庭囊という平衡感覚を感知するセンサーが備わっています。
半規管はリング状の器官で、身体の回転を感知する働きがあります。
身体が回転すると内部のリンパ液が慣性の法則に従って動き、クプラ(感覚神経の固まり)が刺激されることで回転の速度と角度が感知されます。
半規管は90度ずつ角度の違うものが3つセット(三半規管)になっていて、それぞれが前後・左右・上下という三次元の回転に対応しています。
一方、前庭囊(卵形嚢、球形嚢)は傾きを感知する器官で、有毛細胞の先にある耳石という器官が重力によって動くことで身体が傾いている角度を感知します。
有毛細胞は水平方向と垂直方向に対して生えているので、半規管同様にそれぞれの傾きに対応できるようになっています。
内耳の感覚器で感知された回転と傾きの情報は前庭神経を伝わり大脳の体性感覚野と小脳に伝えられ、視覚なども含めて平衡感覚を得るための手掛かりとなります。
平衡感覚の認識自体は体性感覚野で行われますが、実際にバランスをとる上で中枢となるのは小脳です。
小脳が無意識のレベルで身体や眼球の位置などから判断して、素早く安定した姿勢を作り出す役割を果たします。
身体のバランスは小脳による絶え間ない微調整があって初めて成り立ちます。
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