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『胸郭の動きの特徴』

執筆者の写真: MIKURIYA HIROSHIMIKURIYA HIROSHI




胸郭は肋骨と、胸骨と、胸椎とで構成されています。


胸郭は鎧のような形をしていて上方と下方に出口と入り口の空間があり、小さい上方空間は首・上肢との連絡道を提供し、下方の大きな空間は横隔膜でシールされています。


肋骨は12対の弓形を呈する平たい骨で構成され、後方は胸椎につながり、前方は浮動肋(最後二対の肋骨は胸骨とはつながってなく、浮いている状態)を除き、胸骨に直接、又は間接的に軟骨を介してつながっています。


肋骨は上方、下方、浮動肋(第11、12肋骨)の3つの部位に分けられ、それぞれに特徴的な動きをします。


1. ポンプハンドル運動:上方部の肋骨の動きで、胸郭前後の奥行きが広がります。


2. バケツハンドル運動:下方部の肋骨の動きで、胸郭の横幅が広がります。


3. キャリパー運動:浮動肋の動きで、キャリパーの手のように動きます。


特に下位肋骨は、肋骨と胸椎とが形成する肋横突関節・肋椎関節の運動学的な特性により、キャリパー運動を起こします。


このキャリパー運動とは、呼吸の吸気時は横径拡張、呼気時には横径縮小する運動のことです。


吸気時の横径拡張は、胸椎の正常な伸展可動域を得る為の必須条件です。

下位肋骨の運動は、関節運動の異常、胸郭全体扁平化、胸郭周囲の過緊張などによってキャリパー運動ではなくバケツハンドル運動に変容する場合があり、

その場合は、胸郭全体がバケツハンドル運動となり、胸椎伸展可動域が制限され、腰椎への運動学的負荷が増大します。



 
 
 

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